技術の世界(1)技術の世界の怖さ


私が技術の世界を話すのはおこがましいのですが、当社の技術関係における経験値と、
私が感じる技術の世界を追求してみたいと思いコラムにさせて頂きます。
まず技術と営業は何が大きく違うのか?

これは営業から入った私が衝撃を受けたポイントであり、大変な思いをした点でもあります。
技術といっても幅が広く一概に語ることが出来ませんので、
当社が関わる電気設備の工事や管理及びメンテナンスに限定させていただきます。
ここで限定したように、技術を語ること自体に曖昧さがあってはならないのです。
つまり話を限定せずに話すことがあってはならないのが技術の世界だと思っております。

勿論、仮説的な話や曖昧な話は研究開発分野や、事故原因究明など
いろいろな面ではあるとは思うのですが、当社が扱う生活インフラに携わる技術の場合、
説明に中途半端な言葉や仮説的要素があることにより、
大きく責任範囲が変わってくる事があるのです。

出来ないことを要求されたときに「やれるだけやってみます」と言うのは営業までで、
技術管理や技術メンバーがお客様の要求に対し、技術的に可能か否かを断定できない場合に
曖昧な言葉で伝え、結果的に設備の障害や長時間にわたる停電事故を引き起こした場合、
それは裁判へとつながる恐れがあります。

お客さまに対して真摯な態度と対応をとり続けるには、
曖昧さを排除するといったポイントが何よりも必要であり、
お客さまへの情熱や熱意とは一線を画して対応しなければなりません。
ですから言葉も慎重に選ばなくてはなりません。歯に衣着せぬ言葉になるのは、
一面では仕方がないことなのです。一つの言葉のその先が何につながり、
どのように大きな問題になるのか?それを想定し対応しなければ、
このインフラ事業は出来ないと私は思っております。

そこで、当社が関わった案件について、過去に遡り万全の対応をできるようにしておくには、
全て書面によるお客さまとのやり取りが不可欠になってきます。
これは安易に答えるのではなく、会社として責任を持てる範囲に限定し回答するためです。
勿論、契約関係や営業関係でも書面に落とすことが大事で当たり前なのですが、
技術の世界ではそれが現実的な損害や被害を生じ、
その結果が裁判へとつながるという気の抜けない場面が多く存在します。
ですから現場から管理まで、こうした点をベンチャー企業が
ミスなく対応できるようになるまでには相当な投資が必要であります。

当社もこの16年間で、数億円以上の実損を被ってきた歴史があります。
過去の歴史を少しだけお話しさせて頂きますと、技術開発部門では問題点を追求し、
それを解決するだけの技術や資金がない状態の社内体制や、それらがベースとなった
会社の文化でモノづくりに携わると、会社の規模以上の損失が出る場合があります。

モノづくりとは、徹底的にきっちりと動くのか? 設計どおりの機能や耐久性があるのか?
例えれば、自分の子供を育てるに等しい位の愛情と執念を注がなくては絶対に成功しないと思います。
ここを語ると非常に長くなるので止めておきますが、当社もやる気のある若いメンバーで
製造した制御装置や監視装置を、数千台交換した経験があります。
大きな損失を計上しただけではなく、その担当者も退社するなど大変でした。
辞めた方の事を言っているのではありません。
私の経験の無さと、会社の体質(文化)が出来上がっていなかったことが大きな要因であったのです。
それを乗り切る為に、残されたメンバーで過去のマイナスをプラスに転換する組織を作り上げるには、
創業期のパワーと、何が何でもやり通すと言う強い信念と意思が必要でした。
お陰さまで、過去よりずっと安心できるパワーのある組織を作ることにより
なんとか乗り切りましたが、モノづくりの怖さを痛いほど痛感し、
今度はそう簡単に新しいものを世の中に出さない、
より慎重な行動をとるという文化が出来上がってきたのです。

この大きな経験は多大な損失と、その損失により出来上がった強い組織につながりましたが、
二度と同じ轍は踏まない為にチェック体制を強化しております。

今後、新規部門に進むときは技術メンバー全員での討議や準備期間、
最悪のストーリーになった場合のリスクの想定とその対応策が出来ているか等の
チェック体制が必要です。また外部の顧問メンバーにも精査して頂き、
内部チェックと外部チェックを行います。

技術の世界の損失は営業上の損失よりも遥かに大きな損失であり、
大変勉強になりました。これからもこのような経験を糧に、技術の世界を極めて参ります。